マンションの裏手に山があり、鳥の鳴き声や季節の移ろいも見目美しい場所である一方、
容赦なく吹き付ける山風に肌寒くなるころから結露に泣く・・・
その繰り返しの年月は積み重なりもはや生活感を通り越す、カビの温床と化した廊下。
自然現象(結露)に対して、現在の住宅はいかにぜい弱かを物語る。
ならば開発された新素材で美しさを取り戻そう、それも持続可能な。
ただのお化粧直しではなく機能を第一優先に。
そして家族の個性に合わせたリフォームを。
改装前
玄関は普段から車椅子をお使いのご主人も難無く出入りできるほどの広さ。
リビングからは遠く、玄関から続く廊下には個室とトイレ、浴室が並んでいる。
山の方角にある玄関ドアは、開けると突風が・・・夏は良いけれど冬は結露に文字通りドアが泣く
有様だ。
施工過程を非表示
ここに姿見を取り付け予定。誰にでもわかるように、位置確認。もちろん施工時には剥がすので、ご安心を。
改装後
天井、壁の全面(!)に調湿建材を張った。何とも贅沢。光が当たるとキラキラ、ほんのりと煌めき上品だ。
ご主人の動線上に手摺を取り付け、玄関の上がり框に斜めのカットを入れておく。ほんの少し加工するだけで、車椅子での動作性は格段に良くなる。すべてを腕力でこなすから、そういった手助けを少しでも取り入れたい。
改装前
今回の主役はここ。ものすごいカビでついにクロスもめくれ上がってしまった。あかり取りの小窓があり ここも結露を呼ぶので内窓を取り付けたが、まわりの壁は大変なことになっている。ご主人の動きを邪魔しないようにという条件で、雑貨の収納もお考えだ。
改装後
玄関の続きで廊下も調湿建材全面張り。クロスでは出ない質感。本当に上品。雑貨の収納は移動可能なキャスター付きオーダー家具を提案。その表面材はまわりとの調和を生かし白を基調とした木目に仕上げた。天板の角はもちろんなくして、流れのある まあるい曲線が自然と奥へいざなう。向かって右の壁の穴、除湿機専用のくりぬきを作ってみた。内側はもちろん、調湿建材。こうして廊下は整然とした。
改装前
左手の扉を開けるとご主人の書斎、になるはずだが今は物置用の個室。引き戸に変えたほうが、車椅子なら断然出入りが楽だ。
改装後
ほかの木製建具に合わせた色味の引き戸は開口部もやや広め。もちろんご主人への配慮。でもギリギリより少し余裕あるほうが、誰だって通りやすい。
改装前
一応、書斎の構えにはなっているがほとんど物置。天井近くの突っ張り棒は、芸予地震以来倒れ掛かる棚の転倒防止だそう・・・怖い。危ない。何とも危険。
改装後
この部屋はご主人の希望でクロス張りだが窓からキンキンの冷気が来る、ということで窓まわりの壁は下地に断熱施工をしておいた。中連窓には新規でインナーサッシを取り付け、ちょうど壁と内窓の面が合うようになっている。デコボコしていなくて、仕上がりがきれいだ。そして多趣味なご主人の作業台は作り付けの棚とおそろいのオーダーで制作。できるだけ足まわりがスッキリするよう取り付けには工夫をしている。今回お手持ちの荷物をいろいろと処分されるご予定だったが、撮影時に間に合わず箱モノはまだ健在。きっと今後もっとすっきり整理されているに違いない。
改装前
実は書斎にもカビが生えていた。
押入れだったところは襖が取り外されているものの、やはりカビが・・・
改装後
ごらんの通り天井、壁のクロスを新調し床も新しいフローリングに張り替えた。
カビの生えていた壁には今回の工事で下地に断熱施工をしている。
窓はインナーサッシの新設、そしてブラインドも折れていたので今度はロールスクリーンに。
施工前と施工後の撮影日は同じくらいの日差しだったが、こんなにも明るさが違って見える。
空気まできれいに撮影できた。はっきりとした変化がみえる、お部屋のうれしい大変身だ。
もうひとつ、奥様のご要望で押入れに仕切りと棚を増設して機能性アップ。これでその他もろもろスッキリ収納できる。
目隠しに、ここにもロールスクリーンがあると良いかもしれない。埃よけにもなり、部屋の印象もまた変わるだろう。